着物全体の基礎知識

当サイトは、プライベートで着る着物の説明のサイトですが、こちらではひととおり着物全体を説明させて頂きます。

場所2種類×時期3種類 着物全体の説明と、プライベート着物の位置づけ。
生地・柄など物理的種類 柄が入っているかどうかや、生地の種類によって、着物の名前は決まっています。

場所2種類×時期3種類

着物は大雑把に、「着ていく場所(状況)」2種類と「時期」3種類とにわけられます。

「着ていく場所(状況)」
 (A) 公的な礼装などが必要な場所。(冠婚葬祭、公式パーティーなど。)
 (B) プライベートな場所。(デート、カフェ、映画など。)

(A) 公的な礼装などが必要な場所。(冠婚葬祭、公式パーティーなど。)
結婚式、入学式、出版パーティーなど、ファミリー、ビジネス、コミュニティーが絡む公的な集まり。

こちらは、その時々のプライベートルールどおりのものを着ることをおすすめしたく思います。
着物の格や、どの時期のものにするか、着物自体のレベルも含め、その場に適したルールにあわせます。

そういったことが必要だということだけ、わかっていればよろしいかと思います。
そしてどういう着物にすればよいか、身内の識者か開催者におききして準備しておけば、まちがいがないかと。
特に茶会は、せっかくの機会ですので、ご自身の先生におききして早めに揃えるとよろしいでしょう。

(B) プライベートな場所。(デート、カフェ、映画など。)
(A)以外、全部。

当サイトは、こちらの話題を扱っています。
立場上、絶対必要というわけではないのだけれど、欲しいので買う。着たいので着る。といった、プライベートのための着物です。


「時期」

 (A) 袷(あわせ) 秋から春の長い期間 10月~5月の8ヶ月間
 (B) 単(ひとえ) 初夏の6月と初秋の9月の2ヶ月間
 (C) 薄物(うすもの) 真夏の7月と8月の2ヶ月間

この3種類を1枚ずつ持っていれば、とりあえず1年中着物を着ることができます。

(A) 袷(あわせ) 10月~5月の8ヶ月間
透けていない生地で仕立ててあり、裏地がついています。

(B) 単(ひとえ) 6月と9月の2ヶ月間
袷と同じく透けていない生地で仕立ててあり、裏地はついておりません。

(C) 薄物(うすもの) 7月と8月の2ヶ月間
透ける生地で仕立ててあり、裏地はついておりません。

薄物の中でも絽(ろ)という種類は、確実に7月と8月中いっぱい着ても問題がないものです。
よって着物の種類のすべてを覚えるのは大変ですが、袷、単、絽を1枚ずつ持っていれば、一年間を通して着物が着れることだけを、とりあえずの知識としていただけますと。
着物がややこしいといわれる原因は、これ以外にも着物の種類はたくさんあり、それぞれ着用時期が決まっているからかと思われます。特に夏物は、2週間だけの着物など種類が豊富です。ただ逆に、確実に着れる時期がわかっている着物からはじめていけば、問題はないものかと思います。

すでに着物をお持ちの場合、透けている生地かどうか、裏がついているかどうかで、お手持ちの着物を見分けてみるのもよろしいでしょう。
また、このルールに当てはまらない例外の着物もかなりございますので、どの種類かわかる方に一度確認してみることもおすすめいたします。

生地・柄など物理的種類

着物には格というものがあります。これは「生地」と「柄」で決まります。
それによって着ていくのに適当な場所が決まります。
洋服と同じで、パーティー用ワンピース(二次会)、黒スーツ(ビジネス)、チェックのミニワンピース(居酒屋)等、服を着る場所を分けているのと同じです。

「生地」
まず、見分けやすい代表的なもの2種類に分けてみます。

・やわらかもの(紋意匠、縮緬など)
・紬

やわらかものは、表面に模様があって光っている紋意匠や、表面に細かいシボのある縮緬(風呂敷の生地などを想像していただけますと。)などの種類のものです。成人式の振袖の生地も、やわらかものです。表面の模様やしぼにより色々な種類にわけられますが、次に説明する紬と違って生地のざらっとした節はありません。通常、白生地と呼ばれる白い状態の生地に織り上げて、後で色を染めます。

は、生地を織っている糸に節があり、生地がざらっとした感じのものです。(ただし、つるつる光って節がない種類のもあります。)通常まず糸の時点で色を染め、その後織りあげます。よって、織ることでできる幾何学的な模様のものもあります。

「柄」
柄によって、礼装、準礼装、普段着などの着物の格が決まります。

留袖
黒い着物で裾にだけ模様があります。通常、背中と左右の袖と胸、合計5つの染め抜き紋をつけます。
素材はやわらかものでできています。

色留袖
留袖の黒い部分が、黒以外の色になっています。
素材はやわらかものでできています。

訪問着
裾と、胸の前から肩、袖にむかって模様があります。
着物全体が1枚の絵のように、模様の上下が決まっています。
基本、やわらかものでできています。紬のものもあります。

付け下げ
訪問着に似た感じで、模様があります。
ただし訪問着にはある、胸の前から肩の方へ袖の縫い目を通ってかかれた模様はありません。
やわらかものが、多いです。

色無地
無地の着物のことですが、通常、色無地と呼び方をされるのは、やわらかもので黒以外の無地のもののことのようです。
もちろん、紬にも無地のものはあります。こちらは無地の紬と呼ぶようです。

江戸小紋
特定の、細かい模様がある着物です。遠めには無地にみえます。
基本、やわらかものでできています。

小紋
小花やチェックのプリントのワンピースのように、上下左右が関係ない模様が全面にあります。
やわらかものも、紬もあります。
大きな花柄などもですが、縞やチェック、水玉もこちらの分類になります。
基本、カジュアルな感じです。

プライベート着物で着る最初の1枚としては、色無地、小紋、紬のどれかがおすすめです。